パーフェクトブルー

一年という時間は、その体感があっという間であったとしても、いざ思い返してみれば気後れするほどの膨大な出来事の積み重なりである。昨年、乃木坂46(以下、乃木坂)の1期生全員がグループでの活動を終え、その直後に早川の騒動があり、私は夏に新体制のラ…

宛てのない

先日、久保史緖里主演の舞台『桜文』を観た。2020年にリニュアールオープンしたPARCO劇場プロデュースで、脚本は秋之桜子の書き下ろし、演出は寺十吾がつとめる。久保の出演する舞台は『三人姉妹』と『夜は短し歩けよ乙女』しか観たことがなかったのだが、い…

雲のゆくえ

2021年10月25日、「推し」である乃木坂46一期生の生田絵梨花が、自身の公式ブログでグループの卒業を発表した。同年11月5日にリリースされたグループ初のベストアルバム『Time flies』でのリード曲『最後のTight Hug』とソロ曲『歳月の轍』が最後の参加楽曲…

ダンス・トゥ・ザ・プラスティック・ビート

最近になって、人生で初めてハロプロにハマった。正確に言えば、今年の春ごろから徐々に楽曲や映像に触れるようになり、ここ2~3か月でJuice=Juice(ジュースジュース)にのめりこむようになった。今回は、自分が新たな沼にハマるまでの過程や、これまで乃木…

卒業するとは別のしかたで

「卒業」といって、それがあるアイドルメンバーが在籍するグループでの活動を終えることを意味していると了解する人は少なくないでしょう。グループもののアイドル、特に内部でのメンバーの新陳代謝が定期的に起こる場合は、慣例的に「脱退」ではなく「卒業…

メイド・イン・アメリカ

先日、乃木坂46の27thシングル『ごめんねFingers crossed』のMVが公開されました*1*2。監督は『君に贈る花がない』『誰のことを一番 愛してる?』『Wilderness world』を手掛けた東市篤憲であり、前作と同様のきらびやかな演出とシネマティックな展開が光る…

空白でない余白を

はじめに 2021年1月8日、乃木坂46の26thシングル『僕は僕を好きになる』のMVが公開されました。楽曲自体は、2020年11月下旬以降から、MVに先立つ形で、年末の歌番組などにおいてライブパフォーマンスを目にする機会が多くありました*1 *2。MV公開前までの印…

とめどない青

先日、一冊の本が出版されました。タイトルは『乃木坂46のドラマトゥルギー 演じる身体/フィクション/静かな成熟』*1、著者である香月孝史さんが2015年から2017年にかけて青弓社のWEBで連載していた「乃木坂46論」に大幅な加筆修正を加えて書籍化したもの…

君の「かつて」まで

『路面電車の街』、曲を一聴したときは、フックのゆるさも含めて印象の薄いものに感じたのですが、24thシングルの中では、他の楽曲とは異なり、今までに踏襲してきたいくつかの世界観をダイレクトに想起させるものではあったので、どんなMVが来るのだろうと…

未だ見ぬ夜明けに

2019年8月8日、乃木坂46の24thシングル「夜明けまで強がらなくてもいい」のMVが公開されました。監督を務めたのは乃木坂のドキュメンタリー映画一作目も手掛けた丸山建志さんで、同シングルでカップリングに収録されている「僕のこと、知ってる?」が現在公…

せかい の おわり と にきせい と

20XX年7月12日、雨。また、今日も。世界がある。人はいない。どうしてこうなったのか、どれくらいの時間が経ったのか、そんなことは忘れてしまったけれど、鏡に映る顔に大きな変化はないので、私はあんまり変わってないことがわかる。とりあえず、今は朝だ――

他のレンズから

突然ですが、朝井リョウの小説に『武道館』というアイドルをテーマにしたものがあります。正直、この小説を読んだのはずいぶんと前で、詳細な内容については曖昧なのですが、冒頭のあるエピソードについては強く覚えています。それは、主人公であるアイドル…

乃木坂46とドキュメンタリー

2019年7月5日、乃木坂46の映画『いつのまにか、ここいいる』が公開されます。この映画は2015年に公開された『悲しみの忘れ方』に続く「Documentary of 乃木坂46」シリーズの二作という位置づけの、いわゆる「ドキュメンタリー映画」となっています。前作の監…

あの教室でつかまえて

2016年10月25日、乃木坂46のyoutube公式チャンネルに同グループ16thシングルのカップリング曲『あの教室』のMVが投稿されました。個人的には16th関連の中では一番好きなMVとなったので、本作の魅力についてちょっと語ってみようと思います。

明るい部屋、のような存在

2019年5月15日、乃木坂46の23枚目のシングル『Sing Out!』のカップリング曲に当たる『のような存在』のMVが公開されました。自分の好みどんぴしゃりなものが来たので、楽曲を含めたMVの世界観について思い馳せたことをちょっと書いてみようと思います。