being here with me 01

 一個の人間の総合性は、いくつかの部分に分断されたりしない。生とは、生を合成する諸要素の雄々しい一体性のことなのである。生の内部には斧の一撃のような単純さがある。──ジョルジュ・バタイユ魔法使いの弟子』、酒井健/訳、2015年、景文館書店

 はじめて見た「VTuber」と呼ばれる存在が誰だったかはもう覚えていない。2019年頃に少しだけ見ていたのは「高い城のアムフォ」「ピクセルコ」「鳩羽つぐ」「ノーラン・キダ」「日雇礼子」「マルドロールちゃんのうた」などのいわゆる個人勢であった。本稿を書くきっかけとなったのは、昨年刊行された『VTuberの哲学』『VTuber学』を読み、VTuberに関する言説の盛り上がりに対してギャップを感じると同時に、全く逆にそこへの好奇心をかき立てられたことにある。2024年の秋頃から、以前は触れてこなかった企業勢と呼ばれるライバーたちの動画をいくつか見るようになり、なかでも「3DLIVE」と、それへと注力するホロライブへとりわけ大きな関心を持つようになった。ホロライブのステージングへ興味を惹かれたのは、自分がこれまで乃木坂46ハロプロのようなリアルなアイドルが好きだったことも一因としてあげられるかもしれない。そんなわけで、本稿で試みたいのはVTuberによる「3DLIVE」について記述することである。

続きを読む

ホロライブ3DLIVEについての年表

 VTuberとホロライブの3DLIVEの歴史について、簡単に年表形式で振り返りたい。あらかじめ断っておくと、本稿はきわめて恣意的かつ偏りのある年表である。元々、ホロライブの3DLIVEの発端やフォーマットの確立時期についてのリサーチを目的としていたため、現在の「3DLIVE」に関連性が高いと思われる話題と個人的に興味深く感じたVTuberの表現やあり方の事例を取り上げている。

 年表の大まかな見取り図としては、2016年末にキズナアイがデビューしたことで「VTuber」という文化の起点が生まれる。2017年はインターネット上で「VTuber」というジャンルがサブカルチャー的に人気に火がつく。2018年にVTuberブームが到来し、企業の参入も全面化する。2019〜2020年は、オフラインライブと3DLIVEの開催が増加し、にじさんじとホロライブという二大事務所が台頭。海外展開も本格化してゆく。2021年以降は、今に至るシーンの体制が定着したことで、黎明期に見られたような「VTuber」全体をめぐる生態系の大きな変動は見受けられず、既存のIPや各企業がコンテンツの先鋭化を図っている。

続きを読む

パーフェクトブルー

 一年という時間は、その体感があっという間であったとしても、いざ思い返してみれば気後れするほどの膨大な出来事の積み重なりである。昨年、乃木坂46(以下、乃木坂)の1期生全員がグループでの活動を終え、その直後に早川の騒動があり、私は夏に新体制のライブを見に行った。時系列は前後するが、ハロプロの25周年ライブや、中森明菜の映画にも足を運び、乃木坂に限らず、「アイドル」について縦軸と横軸に多少の広がりを持って考えることがしばしばあった。

 その意味では、2023年は特別な年という感じはなくとも、ぐるぐると頭の中にうずまくものが多かった一年のように思う。今回のブログでは、いくつかのトピックについて自分なりに書き留めておこうと思う。それらは基本的には連想程度のつながりしかないが、ざっくりと言えば、フィクションを、その距離感を自覚したうえで自分がどのように受け止めうるかという問題に関するものと思える。

続きを読む

宛てのない

 先日、久保史緖里主演の舞台『桜文』を観た。2020年にリニュアールオープンしたPARCO劇場プロデュースで、脚本は秋之桜子の書き下ろし、演出は寺十吾がつとめる。久保の出演する舞台は『三人姉妹』と『夜は短し歩けよ乙女』しか観たことがなかったのだが、いずれも映像のみであり、今回がはじめての現地での観劇となった。今回のブログはそれについて雑多に書いてゆこうと思う。

続きを読む

雲のゆくえ

 2021年10月25日、「推し」である乃木坂46一期生の生田絵梨花が、自身の公式ブログでグループの卒業を発表した。同年11月5日にリリースされたグループ初のベストアルバム『Time flies』でのリード曲『最後のTight Hug』とソロ曲『歳月の轍』が最後の参加楽曲となり、12月14日から2Daysでの卒業コンサートが催された。

 生田は活動初期から常に中心的なポジションに立ち、かつ、舞台やミュージカルへと精力的に取り組み、グループの活動の幅を内外から広げてきた。2015年の『リボンの騎士』を皮切りに、『ロミオ&ジュリエット』『レ・ミゼラブル』『モーツァルト!』『グレート・コメット』『キレイ』など様々な公演に出演し、2017年には岩谷時子賞奨励賞、2019年には菊田一夫演劇賞を受賞し、舞台女優としての評価も確立している。また一方で、乃木坂46加入前にはピアノコンクールで東京都代表に選ばれ、音大へと進学。一流アーティストによるアコースティックを基調とした音楽ライブ番組「MTV Unplugged」には、ソロとグループ名義とで二度出演している。

 そんな文字通り「才女」としてグループを牽引してきた生田が具体的な活動を終えるのは、12月31日の紅白歌合戦と予定されている*1。さて、私は先日、卒業コンサートの二日目をライブ配信で観た。その時、オタクとしての様々な気持ちが「報われた」と思う瞬間を初めて経験した。今回のブログでは、そんなライブでの経験をもとに、生田絵梨花と、彼女の背負ってきた「乃木坂らしさ」とはなんであったのかを自分なりに考えてゆきたい。

目次

  • 結婚
  • 憧れ
  • 卒業
  • 毎日

f:id:calpasngz:20211223004538j:plain

*1:披露される楽曲は『きっかけ』。以下も参照→乃木坂の紅白歌唱曲はなぜ「きっかけ」? 大切な節目の楽曲で締めくく|https://www.nikkansports.com/m/entertainment/news/202112230000018_m.html?mode=all

続きを読む

ダンス・トゥ・ザ・プラスティック・ビート

 最近になって、人生で初めてハロプロにハマった。正確に言えば、今年の春ごろから徐々に楽曲や映像に触れるようになり、ここ2~3か月でJuice=Juice(ジュースジュース)にのめりこむようになった。今回は、自分が新たな沼にハマるまでの過程や、これまで乃木坂46を推してきたことで相対的に見えてきたハロプロの魅力などについて、ごくごく主観的に書き綴っていこうと思う。

続きを読む